医療機器大手のテルモ株式会社は、ケニアで進めてきた心臓カテーテル治療の研修事業を、2026年度からエチオピアおよびタンザニアにも拡大すると発表しました。同事業は、厚生労働省の「医療技術等国際展開推進事業」に4年連続で採択されたものです。虚血性心疾患に対する低侵襲治療であるPCI(経皮的冠動脈インターベンション)について、治療技術の普及と現地医療従事者の育成を進めます。東アフリカでは、生活習慣の変化や感染症対策の進展などを背景に、虚血性心疾患を含む非感染性疾患による死亡の割合が増加しています。一方、安全にPCIを実施できる医師は限られており、専門人材の育成が課題となっています。テルモは2023年度から、日本人医師の知見と自社の研修ノウハウを組み合わせ、ケニアでPCI研修を実施してきました。これまでの3年間で、約20人のケニア人医師が研修に参加しています。また、現地主導で継続できる研修体制を構築するため、このうち4人の医師をPCIの現地トレーナーとして育成しました。2026年度は、ケニアの医師を対象に、より複雑な症例に対応するための研修を日本とケニアで実施します。また、エチオピアとタンザニアの医師をケニアに招き、日本人医師とこれまでに育成されたケニア人医師による基礎研修を行います。本事例は、日本企業が製品を販売するだけでなく、技術指導や人材育成、現地団体との連携を通じて、その技術が継続的に活用される環境を整備する取り組みといえます。まずケニアで研修モデルを構築し、その後周辺国へ展開する手法は、医療分野に限らず、日本企業が東アフリカ市場への進出を検討するうえでも参考になりそうです。