2021年1月1日に、アフリカ55ヶ国のうちエリトリアを除く54ヶ国が参加する、世界最大級の経済共同体であるアフリカ大陸自由貿易圏(African Continental Free Trade Area: AfCFTA)が始動しました。 AfCFTAは、アフリカ連合(AU)加盟国の間で関税を撤廃し、原産地規則や知的財産権などの貿易ルールを共通化することで、アフリカの経済発展と世界における競争力強化を目指すものです。これにより、アフリカ大陸をヒト、モノ、カネ、サービスが自由に行き交う単一市場とすることを目指しており、「アフリカ版EU」とも言われています。 本稿ではAfCFTAの現状と、進出する日本企業にどのような影響を及ぼすかご説明いたします。AfCFTAの加盟国と進捗状況[図1] 図1では2024年8月現在において、国内手続きを完了し正式にAfCFTAの協定を批准した批准国、AfCFTAの協定に署名し、将来的に批准することを示している加盟国、そして加盟の意思を示していない非加盟国を表しています。2024年8月時点において55の国のうち約9割にあたる48ヶ国が批准しており、リビア、スーダン、南スーダン、ソマリア、マダガスカル、ベナンの6ヶ国が加盟国として手続きを進めています。批准国では運用はすでに始まっており、貿易の自由化を目指して関税の撤廃や貿易ルールの共通化が各国の協議のもと順次行われています。日本企業にとってのメリット アフリカに進出する日本企業にとって第一に考えられるメリットは、アフリカ各国を個々の国としてではなく、巨大な1つの市場と捉えられるようになることです。 アフリカでは人口規模や経済規模が比較的小さい国が多いことから、1つの国に進出するとその国の近隣国などにもビジネスを拡大させることが必要となります。しかしAfCFTAにより関税や規制が統一されることによって、各国ごとにそれらを確認し、対応する必要がなくなり、スムーズな事業拡大が見込めます。 また、アフリカ内でサプライチェーンを構築する選択肢が出来ることも、メリットとして挙げられます。アフリカには経済が発展し特に購買力の大きな国もあれば、港湾や物流拠点を持ち資材・材料の調達に有利な国、人件費が比較的安価である国など、様々な国が混在しています。域内での貿易がしやすくなることで、例えば人件費が安い国で製品を製造し、購買力の大きな国で販売するといったサプライチェーンをアフリカ内で柔軟に検討できるようになります。 AfCFTAは、アフリカ大陸の経済を大きく変革する可能性を秘めています。巨大な市場の誕生は、アフリカのみならず世界経済にも大きな影響を与えるでしょう。日本企業にとっても、変化の波を捉え積極的にアフリカ市場への参入を検討することで、半世紀先を見据えた大きなビジネスチャンスを獲得できるかもしれません。 JCCP Mは日本企業のアフリカ進出支援に特化したコンサルティング会社です。お客様企業のニーズに合わせて、オーダーメイドのご支援を提案させていただきます。お問い合わせはこちらサービス一覧はこちらプロジェクト事例はこちら