世界には、国や地域間の経済協力を通じて繁栄を目指す様々な経済共同体が存在します。代表的な共同体として真っ先に思い浮かぶのが欧州連合(EU)でしょう。第二次世界大戦後に設立したEUは単一市場の形成や共通通貨ユーロの導入など、高度な経済統合を実現しています。 戦後のアフリカ大陸においても、各地で地域経済共同体が設立されました。複数の国々が手を組み経済統合を進めることで、アフリカ全体の経済発展を加速させています。この記事では、アフリカにおける地域経済共同体の情報と域内で進められている施策例についてお伝えします。 地域ごとの経済共同体[図1]【世界銀行の統計データ(2023年)を基にJCCP Mが作成】それぞれの経済共同体に所属する国は下記の通りです。(2024年12月時点)アラブ・マグレブ連合(AMU)モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、モーリタニア 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)ベナン、ブルキナファソ、カーボベルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴ中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)アンゴラ、ブルンジ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、ガボン、コンゴ共和国、サントメ・プリンシペ東南部アフリカ市場共同体(COMESA)ブルンジ、コモロ、コンゴ民主共和国、ジブチ、エジプト、エリトリア、エスワティニ、エチオピア、ケニア、リビア、マダガスカル、マラウィ、モーリシャス、ルワンダ、セーシェル、ソマリア、スーダン、チュニジア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ東アフリカ共同体(EAC)ブルンジ、コンゴ民主共和国、ケニア、ルワンダ、南スーダン、タンザニア、ウガンダ、ソマリア南部アフリカ開発共同体(SADC)アンゴラ、ボツワナ、コモロ、コンゴ民主共和国、エスワティニ、レソト、マダガスカル、マラウィ、モーリシャス、モザンビーク、ナミビア、セーシェル、南アフリカ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ それぞれの経済共同体は、域内の関税および非関税障壁の削減撤廃を行うFTA(自由貿易協定)や、FTAの取り決めに加えて域外に対して同一の関税率を設定する関税同盟を構築しています。 またEU圏で使用される共通通貨ユーロと同じように、アフリカでも複数国家間で使用される共通通貨があります。それが西アフリカ地域のCFAフランです。CFAフランはセネガルやコートジボワールなどで使用されており、ユーロとの固定レートが導入されていることから域内のインフレ抑制など経済面で一定の評価を受けています。そういった経済面の恩恵を求めて、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、東アフリカ共同体(EAC)、南部アフリカ開発共同体(SADC)でも域内通貨の統一を目指しています。東アフリカ共同体での経済施策 さらに関税の削減撤廃や共通通貨の発行推進以外にも、域内の経済発展のためにそれぞれの共同体では様々な取り組みを行っています。ここでは、東アフリカ共同体(EAC)の施策例を3つご紹介します。 1つ目は製品やサービスの規格統一化です。EACではオーガニック食品、電化製品、建設資材などの様々な分野で共通の安全基準を持っています。これにより貿易の円滑化や消費者保護に好影響を及ぼしています。 2つ目は域内の越境ビジネスの簡素化です。ワンストップボーダーポストを設置することで人や製品が国境を超える際の手続き時間を短縮させたり、ケニアからウガンダ、ルワンダを通ってブルンジまでをつなぐ道路を建設することで利便性の高い流通網を構築したりしています。 3つ目は加盟国を周遊できる合同の観光ビザの発行です。ケニア、ウガンダ、ルワンダの3ヶ国では観光用の合同ビザを発行しビザ取得を容易にすることで、欧米やアジアなど域外からの観光客が増加し観光業が発展することを促しています。 こうした地域ごとの経済統合の動きに加え、アフリカ全体を包括する広域的な経済共同体も存在します。それがエリトリアを除く54ヶ国が加盟するAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)です。AfCFTAの詳細については次回の記事でご説明いたします。JCCP Mは日本企業のアフリカ進出支援に特化したコンサルティング会社です。お客様企業のニーズに合わせて、オーダーメイドのご支援を提案させていただきます。お問い合わせはこちらサービス一覧はこちらプロジェクト事例はこちら