シリーズ連載「アフリカビジネスの基礎知識」アフリカは、高い人口増加率や今後の発展への期待から、今後成長が見込まれる市場として注目されています。しかし、実際にアフリカ進出を検討する場合、日本企業にとっては、アジアや欧米とは異なる、情報収集や市場を想像することの困難が存在することは事実です。アフリカ市場に関連した具体的な情報は少なく、実際にアフリカに進出している企業も他地域に比べて少ないことから、どこから手を付ければよいか迷われるというご相談を度々頂戴します。そこで、JCCP Mはこれから数週にわたって、【アフリカビジネスの基礎知識】と題し、アフリカビジネスを進めていくうえで必要となる基礎的な情報をシリーズでお届けします。ここでは、皆さまがアフリカ市場の超概要を把握し、進出の検討や計画にお役立ていただけるよう、アフリカ市場について、人口や経済の概要、成長の見込み、地域ごとの特性、現地までの主要経路、日系企業のトレンド、日本政府による開発事業等の情報を随時紹介していきます。シリーズ連載第一回目の今回は、まず初めにアフリカに含まれる54の国の多様性と、そのような多様なアフリカのビジネス環境を読み解くために一般的に使用される地域分類について説明します。54の国から成るアフリカアフリカと一口に言っても、そこには54もの国が含まれ、人口、発展の度合い、言語、宗教、商習慣などがそれぞれ異なります。例えば、人口を挙げると、国によってかなり開きがあります。図1はアフリカの国ごとの人口を表しています。これによると、人口が突出して多い国はナイジェリアで、約2億2千万人と日本の2倍近くの人口があり、世界でも第6位です。一方で、ナミビアやボツワナ等、色の薄く塗られている国々では人口が300万人もありません。[図1]【世界銀行のデータをもとにJCCP Mが作成】またGDPもそれぞれの国によって大きく異なります。多くの方がアフリカは極度の貧困にあり、国際機関や先進諸国から多額の援助を受けているという印象をお持ちであると思いますが、国によっては他の先進諸国や新興国に負けない成長を遂げている国があることも事実です。[図2]【世界銀行のデータをもとにJCCP Mが作成】図2ではアフリカ各国のGDPを比較しています。GDPが高い国(色が濃い国)は南アフリカやナイジェリア、エジプトといった国々で、約4,000億米ドルのGDPがあります。一方でGDPが低い国(色が薄い国)はセーシェルやサントメプリンシペなどの島国、ガンビア、レソト等で、30億ドルもありません。人口やGDPの他にも、例えば宗教の観点では、キリスト教、イスラム教、現地の伝統的宗教など様々な宗教がアフリカには混在しています。また、ビジネス言語も地域や国によって異なり、英語やフランス語、アラビア語などの言語が使われています。このように、アフリカは様々な要素が絡み合い、多種多様な側面を持つ地域と言及できます。アフリカを扱う統計やアフリカ市場に関連するレポートでは、そのようなアフリカの実態をより正確に捉えるために、アフリカを複数地域に区分することもあります。一般的に用いられるアフリカの地域区分アフリカの中の特定地域を絞り込むための言葉としてよく用いられるものの一つに、「サブサハラアフリカ」と「それ以外」という切り分けがあります。「サブサハラ」とは「サハラ砂漠の下」という意味で、サハラ砂漠よりも南の国々を指します。北アフリカは乾燥地帯が中心であり、ヨーロッパの影響を受けて比較的経済が発展しており、ヨーロッパでは同じアラビア語圏である中東と合わせてMENA(Middle East and North Africa:中東・北アフリカ地域)として区分されています。これに対し、サブサハラアフリカでは、熱帯雨林やサバンナなど多様な自然環境が広がり、比較的経済規模は小さいものの、経済成長率や人口増加率が高く、今後の成長が大いに期待されています。 しかし、この分類ではサブサハラアフリカの48の国を一つに纏めてしまう事から、アフリカ経済をある程度正確に捉えるには限界があります。このため、アフリカ開発銀行や国際機関等の統計や調査では、もう少し細かく、北アフリカ、東アフリカ、西アフリカ、中部アフリカ、南部アフリカの5つの地域に分類する事が一般的です。ひとつの事例として、アフリカ開発銀行はそれぞれの国を以下のように分類しています。[図3]【アフリカ開発銀行による区分をもとにJCCP Mが作成】この区分は、言語や文化、経済圏の纏まりと必ずしも一致しているわけではありません。しかし、近接している複数の国を纏めてとらえることで、地域ごとの特色を把握するために有用であることから、アフリカ全体というマクロの視座から一段細かいレベルで検討を行うために有益な手法となります。今後本シリーズでも、度々この5地域の分類を用いた統計情報等をお伝えする事がありますので、ご紹介させていただきました。5地域の分類や、各国の位置を確認されたい場合は、このページをご参照ください。JCCP Mは日本企業のアフリカ進出支援に特化したコンサルティング会社です。お客様企業のニーズに合わせて、オーダーメイドのご支援を提案させていただきます。お問い合わせはこちらサービス一覧はこちらプロジェクト事例はこちら